僕が生まれたのは今から44年前。1972年2月9日。
日本はちょうど札幌オリンピックの最中で盛り上がっていたそうだ。しかし長男誕生に父はおそらく母に金メダルをあげたいくらいの気持ちだったのではないだろうか。
そしてこの日、海の向こうイギリスでは、あのポール・マッカートニーがウイングスで初めてライブをしたそうだ。
ポールはビートルズ解散後に2枚アルバムを出し、商業的成功は得たものの評論家等からはあまりいい評価を得られず、再起をかけて結成したのがウイングス。
前年の71年の12月にウイングス1stアルバム「ワイルドライフ」を発表。たった2週間のレコーディングで完成させてしまったそうだが、荒削りなイメージが強く、またもや酷評されたらしい。
ところがこの1972年2月9日に、イギリスのノッティンガム大学を皮切りに最初のコンサート・ツアーを開始。それは抜き打ちで選んだ大学にアポなしで向かい、ポール自らが大学と交渉してライブを行うというスタイルだったそうだ。
なぜポールが自らそんな行動をとったのかはわからない。
単に面白がってやってみただけかもしれないし、あるいは純粋に「もう一度アマチュア精神で自分の音楽を裸いっかんで世の中にぶつけてみたい」と思ったのかもしれないし、あるいはその後大麻で逮捕されていることから薬の影響で突拍子もない行動に出たのかもしれない。
僕にとってルーツに挙げる曲の一つにビートルズの「Let It Be」がある。言わずもがなビートルズの代表曲で、ポールの作・メインボーカルの曲だ。
きわめてシンプルなコード進行。イントロもピアノでコードを押さえているだけ。でも秀逸なメロディーとソウルを感じさせられる歌声。歌詞に込められた意味は諸説あるようだが、つまるところ、ポールは“自分の音楽探し”をビートルズのときもウイングスになってからも、そして今もきっと続けていて、常に格闘しているということなのではないだろうか。
僕はとてもとてもポールの足下にすら及ばないが、彼が一つの決断と行動を起こしたこの日に生まれた男として、勝手に運命を感じながら(笑)この年も歌を綴っていこうと、改めて思う。
沢山の祝辞、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。