
昨今はカセットテープや使い捨てのフィルムカメラが人気急上昇中だったり、イギリスなんかじゃCDよりアナログレコードが売れていたりと、とかく昭和の産物の再ブレイクが話題になる。それらを知らない平成世代の若者たちには新鮮に映ることも理由にあるんだろう。
昭和歌謡も例外でなく、あちこちでそれを歌うミドルエイジアーティストのライブも増えた。
しかし一番驚いたのは、昨年岡山でライブをした時に、対バンになった高校生の女の子が弾き語りで「あずさ2号」をやっていて、「ご両親に教わったの?」と聞いたら、「Youtubeで知ってカッコイイと思って。」とのことだった。今や昭和の大ヒット曲も、新たに生み出される曲たちも、若い人にとっては同じ棚に並んでいて、魅かれるものを選んでいるのに過ぎないのかもしれない。
ちなみに僕のCDをプレゼントしたのだが、多分彼女はCDを今まで買ったことがないんじゃないかな(苦笑)。

昭和歌謡。それは音楽がとても華やかな時代の、多くの人の憧れの対象でもあったかもしれないもの。
今回の「AOYAMA音楽倶楽部」は、そう言った意味では“やや出遅れ感”のあるテーマ選択。
元々はそんなリクエストをいただいたのがきっかけなのだが、「ああ、そういうの最近よくやってるよね」と言われてしまいかねない。でも自分にとってもよーく刷り込まれているエッセンスだし、確かに色々溢れんばかりの宝が詰まってる感じがあったので、敢えて真正面からやってみることにした。
とは言え、黒沢秀樹さん、井手麻理子ちゃんのマリコとヒデーズ、そこに陣内大蔵さんと種ともこさん、そしていつも支えてくれるバンドの皆さんの「ガッテン承知!」と言わんばかりの快諾を得ることができたので、この布陣に昭和歌謡の“ネタの強さ”をかけ算したら、「きっととっても楽しんでいただけるライブが作れる!」と超ポジティブシンキングで準備に当たっていたのだ。

<マリコとヒデーズ>
1 桃色吐息
2 ホテル
3 舟唄

4 メドレー(伊勢佐木町ブルース〜東京ナイトクラブ〜待つわ)
5 十戒
6 ルビーの指環
7 そんなヒロシに騙されて

<陣内>

8 ダンシング・オールナイト
9 戦士の休息

10 あんたのバラード
11 空よ(オリジナル曲)

<種>

12 渚のシンドバット
13 ポケットいっぱいの秘密

14 木枯らしに抱かれて
15 そこんとこよろしくね(オリジナル曲)

<マリコとヒデーズ(オリジナル曲)>
16 There must be an angel
17 Endless Harmony
18 M-78

<All>
19 恋のダイヤル6700
20 モスラ〜恋のバカンス
<アンコール>
Hello,It’s Me(川久保)
ひとつずつ(川久保)
「音楽は無体財産だ」と、昔お世話になった方がよく言っていた。形はないけど人の耳に入った瞬間、それは何かの映像になって現れるのではないだろうか。昭和歌謡はメロディー、歌詞、歌い手の歌力に加え、イントロフレーズなどのアレンジ面でもその作用が顕著で、よく練られているなぁと改めて実感した。
今やパソコンのソフトで誰でも“それなりの曲”が作れる時代。だからこそプロとして名乗るなら、人々の心により素敵な映像を描けるようにしなくてはいけないんだと思う。
これからしばらくライブの予定は入れていない。夏頃を目処に新しいCDを出すべく、作業を始める予定だからだ。もしかしたら昭和っぽいフレーズが随所に入ってしまうかもしれない(笑)。
ご来場くださった皆さん、ネット中継で楽しんで下さった皆さん、どうもありがとうございました。幸い多くの方に楽しんでいただけたようでホっとしています。
次回はもっと大きい会場を用意しなきゃならないよう、是非直接その目と耳で体感しに来て下さい。
さぁて、vol.10はどうするか。困った困った(笑)。